TLN002 寺脇研さんライブレポート

官僚の仕事、ゆとり教育の真意が分った2時間

事業仕分けで盛り上がる中、予算の査定とはどういうものかなど官僚の仕事について伺いました。 その後、質疑応答でのゆとり教育、子供手当て/高校無償化などのやり取りで、それらのポイントが浮き彫りにされました。

国際政治に続き、教育と重要な課題についての今を知ることが出来ました。また、ちょっと違う視点でニュースを見れると思います。

■事業仕分けについて

事業仕分け 今話題の事業仕分けの映像が会場に流れる中、

  • 「ようは人民裁判でしょ。だから愉快なことではない。でも 政党の政策とやっていて、パフォーマンスではないから自民党がやってたのよりはずいぶんいい。」
  • 「自民党が決めた予算についてやってるわけだから、来年は自分たちで決めた予算だから、事業仕分けはやらないですよ」
  • 「今の官僚には予算が少なくなるとまずいという人たちとそれでも良いと思う人たちがいる。これは世代の問題で、昭和の人たちは耐えられないが、平成の人は平気。
    57年度以降の予算はシーリングが出来たので、どこかが増えるとどこかが減る。自己変革の早い人、遅い人はいるけれど、82年だから10回もやってるとわかる。」

■予算が削られても困らない!?どうやって政策は決まっているのか

TLN002_寺脇研さん

  • 「どうしてもやりたいことは、予算を使わずにやる知恵を使っていけばよい。 電通や博報堂を使ったキャンペーンはできる。そんなお金ないからメディアに出演するなどして、説明し、広げていく。」
  • 「大蔵省は政治家の代理人なんです。
    大蔵省支配になってるというのは、政主導になった証拠。自民党政権の末期は、自治省や経産省が暴走したりするのは大蔵省の力が落ちていた。」
  • 「80年代までは部会が政策決定であった。90年代に入り崩れてしまう。小選挙区制と 一党支配でなくなり、政治家の個人的な事情を言うだけの部会になってしまっていた。」
  • 「政主導 官主導という二元論がおかしく、政治家と政治家が支配する政府とその下で働いている官僚の3つに分けて考えなければいけない。それが今回明らかになったのであって、それがいままで曖昧だった。」

役人は自分たちの予算を増やすことばかり考えている。官僚に政治が支配されている。などよく知らず先入観でなんとなく思っているけれど、そういう役人ばかりではなく、また、時間の中で変化していることがわかりました。田中角栄は特別ではなく、明らかにそれまでの時代は政治が主導する場面があったと分り、最近の異常さに改めて気づきました。

■ゆとり教育の真の狙い

TLN002_寺脇研さん

  • 「鳩山首相の所信表明演説を聴いて、日本の総理大臣が国会でこういうことを言う時代が来たのか。 新しい公共を作るという提案、日本は世界の架け橋になる。引っ張るとか言ってない。 西洋と東洋の架け橋、富める国と貧しい国の架け橋、異なる価値観の国どうしの架け橋となるといってる。」
  • 「どういう教育にしたいかを言わないからわからないというけれども、いわずもがな。
    そういうこと目指す国が、学力テストで世界一になりたい国であるわけがない。 学力競争して、人を蹴落としてでもいい学校、会社に入れとは違うときが、ようやく到来した。」
  • 「20年前に高度成長を前提とした誰もが一番を目指す教育を変えることが必要といわれ、変革に10年取り組み、そのあと10年たたかれまくってた。
    やっと真価が分るような状態になってきた。教育はタイムラグがある。決めてから10年ぐらいたたないと結果が出てこない。」

様々な批判を浴びたゆとり教育。しかし、高度成長が終わり、皆がピラミッドの頂点を目指すことの限界が明らかになりつつある中ではじまった転換は、ようやくここに来て、その成果が出つつあるのかもしれません。

■憲法には、教育は義務であり権利である。義務は親が子供に対して負うものであるとあるが、そのあたりの議論がなされずに子供手当ての議論が進んではいないか

TLN002_質疑応答

  • 「子供手当ては、15歳までで福祉対策の面がある。15歳までは子供手当てでやり、 高校は無償化でカバーする。大学は自分で何とかしろという議論になっていくのではないか。」
  • 「返さなくていい奨学金か、返す奨学金か、有利子か無利子化によって財源は変わる。」
  • 「憲法26条の意味は、子供は学校に行く義務があると思われていた。「教育を受ける権利がある」と書いてあり、施しだという考え方がベースとなっている。ポスト近代として考えなければいけないのは全員に「学習する権利がある」、しかし、無償で受ける権利は全員には保障できないので限定して権利を保証するということである。」
  • 「社会に助けられて育ったんだと意識する子供を育てる。そこで、教育内容になっていく。蹴落とす子供になっても仕方がない。 「公共」の教育を行っていかなければ成らない。」

■世界の中で影響力を出していく超一流の人材育成のために、決定的にたりないものはなにか

  • 「一番欠けているのはエリート教育。エリートとゆとりが層反するというからおかしい。 エリートは個別の問題であり、皆がエリートになったらエリートじゃない。
    全員がエリートを目指すフィクションを作って教育させたことが問題。 多元的価値観の中で、なんだったらエリートになれるのかを問う。」
  • 「学歴の高い人ではなく、社会的貢献度の高い人がエリート。その追跡調査をやればいい。」

■ネットワークを活用しフットワークの軽い若い世代と会社の中の世界にとどまり硬直化している中高年世代は分化したままか

  • 「そのような違いは、平成官僚vs昭和官僚も同じ。ゆとり社員問題は、SFC(慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス)の一期生が最初に言われた。会社に入り嫌がられ、日本の企業社会から受け入れられなかった。SFC出身の社会起業家が多く、彼/彼女たちは 企業の中でいかに受け入れられなかったかの証明。」
  • 「違うやつが入ってくるとそいつらが悪いと言って安心しようとする。
    変わっていくことをいいことと考えられるのか、会社は業績を上げるのに貢献できるか 会社の文化になじまないということで差別されるのはどうかと思う。どう飲み込んでいけるかではないか。」

話は、官僚の仕事から、専門の教育の問題に及びました。成長が鈍化し新しい公共というものが必要とされる社会の到来を予測し、それに対応すべく取り組まれた寺脇さんの教育に対する熱い思いをたっぷり聞かせていただきました。その真意をとてもよく理解することが出来ました。寺脇さんそして、参加してくださった方々、ありがとうございました。

※発言は、会話の内容をベースに分りやすく、意味が通じるよう再構成しています。